⑴ 法人税額基準額の基礎となる当期の法人税額
が「調整前法人税額」とされ、租税特別措置法 第42条の 4 第 6 項第 2 号に定義された上、各制 度で同号を引用することとされました。詳細は、
前述の「一 試験研究を行った場合の法人税額 の特別控除制度(研究開発税制)及び試験研究 を行った場合の法人税額の特別控除の特例」の
3 ⑵③ロをご参照ください。
⑵ 連結納税制度における設備投資をした場合の 各税額控除制度について、税額控除限度額に係 る税額控除における法人税額基準額のうち、調 整前連結税額の20%相当額にその連結法人の個 別所得金額が各連結法人の個別所得金額の合計 額のうちに占める割合を乗じて計算した金額を 算定する場合に、個別所得金額を合計する対象 となる連結法人は、税額控除限度額に係る税額 控除の適用に係る資産の取得等をした連結法人 であることが明確化されました(措令39の40⑤ 一イ、39の41⑥一イ⑦一イ、39の43③一イ、39 の44①一イ、39の45②一イ、39の45の 4 ④一イ、
39の47⑧一イ)。
⑶ 連結納税制度における法人税の額から控除さ れる特別控除額の特例について、繰越税額控除 限度超過額に係る税額控除額が調整前連結税額 超過額を構成することとされた場合において、
繰越税額控除限度超過額の発生連結事業年度等 が 2 以上あるときは、租税特別措置法施行令第 39条の48第 6 項の規定により各連結法人の税額 控除額の個別帰属額から控除する金額は、繰越 税額控除限度超過額を発生連結事業年度等ごと に区分し、その区分された繰越税額控除限度超 過額のうちその発生連結事業年度等の最も新し
いものから順次調整前連結税額超過額を構成す るものとして、その区分された繰越税額控除限 度超過額につき同項の規定を適用して計算した
金額の合計額とすることが明確化されました
(措令39の48⑦)。
第二 特別償却関係
一 特定設備等の特別償却制度
1 改正前の制度の概要
この制度は、青色申告書を提出する法人が、指 定期間内に、特定設備等でその製作若しくは建設 の後事業の用に供されたことのないものの取得又 は特定設備等の製作若しくは建設をして、これを その法人の事業の用に供した場合には、初年度に おいて、その特定設備等の取得価額に次の特別償 却割合を乗じて計算した金額の特別償却ができる というものです(措法43①)。
対象となる特定設備等、特別償却割合及び指定 期間は、次のとおりです。
特定設備等の区分 特別償却割合 指定期間
⑴ 公害防止用設備(指定物質等回収設備) 8 % 平24. 4 . 1 ~ 平28. 3 .31
⑵
① ②以外の外航 船舶及び内航船 舶
② 高度経営合理 化外航船舶及び 高度環境負荷低 減内航船舶
16%
18%
平25. 4 . 1
(内航船舶は、
平23. 4 . 1 )
~平27. 3 .31
(注 1 ) 外航船舶とは、海洋運輸業の用に供される 鋼船のうち事業の経営の合理化及び環境への 負荷の低減に係る要件を満たすものをいい、
次の法人の次の外航船舶を除きます(措法43
①表二、措令28③~⑤⑦⑧、昭48.5大蔵告69、
平25.3国土交通告340)。
① トン数標準税制の適用を受ける法人 外 航船舶のうち日本船舶に該当するもの
② トン数標準税制の適用を受ける法人の子 会社に該当する法人 外航船舶のうち日本 船舶に該当しないもの
(注 2 ) 内航船舶とは、沿海運輸業の用に供される 鋼船のうち事業の経営の合理化及び環境への 負荷の低減に係る要件を満たす総トン数300ト ン以上のものをいいます(措法43①表二、措 令28③~⑤⑦⑧、昭48.5大蔵告69、平25.3国土 交通告340)。
(注 3 ) 高度経営合理化外航船舶とは、(注 1 )の外 航船舶のうち国際総トン数が 3 千トン以上で あるものをいい、船舶法第 1 条に規定する日 本船舶に該当しないものを除くこととされて います(措法43①表二、措令28③~⑤⑦⑧、
昭48.5大蔵告69、平25.3国土交通告340)。
(注 4 ) 高度環境負荷低減内航船舶とは、(注 2 )の 内航船舶のうち環境への負荷の著しい低減に 係る要件を満たすもの(いわゆるスーパーエ コシップ等)をいいます(措法43①表二、措 令28③~⑤⑦⑧、昭48.5大蔵告69、平25.3国土 交通告340)。
なお、連結納税制度の場合についても、同様の 措置が講じられています(措法68の16)。
2 改正の内容
⑴ 対象となる外航船舶の範囲の見直し
上記1の表の⑵の措置の対象となる外航船舶 から国際総トン数が 1 万トン未満の外航船舶が 除外されました(措法43①表二、措令28③)。
⑵ 対象となる船舶に係る経営合理化・環境負荷 低減要件の見直し
上記1の表の⑵の措置の対象となる外航船舶 及び内航船舶の事業の経営の合理化及び環境へ の負荷の低減に係る要件(以下「経営合理化・
環境負荷低減要件」といいます。)について、
次の見直しが行われました(平27.3国土交通告 473)。
① 外航船舶
イ 対象となる外航船舶のうち平成27年 4 月 1 日以後に建造契約を結び建造をする船舶
(建造契約がない船舶にあっては、平成27 年10月 1 日以後に建造に着手されたもの)
の経営合理化・環境負荷低減要件に、バラ スト水管理条約の締約国が承認をしたバラ スト水処理装置を有していることが追加さ れました(平27.3国土交通告473別表 1 )。
(注) バラスト水管理条約とは、二千四年の 船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び 管理のための国際条約をいい、締約国に は締約国となることを予定する国を、承 認にはその条約の発効前の承認を、それ ぞれ含むこととされています(平27.3国 土交通告473別表 1 )。
ロ 対象となる外航船舶のうち二酸化炭素放 出抑制対象船舶で海洋汚染等及び海上災害 の防止に関する法律(以下「海防法」とい います。)第19条の26第 1 項に規定する国 土交通大臣の確認を受けなければならない 船舶(次のイからトまでに掲げる船舶に限 ります。)の二酸化炭素放出抑制指標の値 に係る要件(以下「EEDI要件」といいま す。)が、次のイからトまでの船舶の用途 及び船舶の大きさの区分に応じ、次のイか らトまでの二酸化炭素放出抑制指標の値以 下であることとされました(平27.3国土交 通告473別表 1 )。
イ 二酸化炭素放出抑制対象船舶の二酸化 炭素放出抑制指標に関する基準を定める 省令(以下「指標基準省令」といいま す。)第 1 条第 1 項に規定するタンカー 等(次に掲げるものに限り、ロに掲げる ものを除きます。) 次の区分に応じそれ ぞれ次の算式により算定した値
A 載貨重量トン数(以下「Dw」とい
います。)が 2 万t以上のもの 1,072.544Dw-0.488 B Dwが 4 千t以上 2 万t未満のもの
1,218.8Dw-0.488(0.98-0.1Dw-4,000 16,000 ) ロ 指標基準省令第 1 条第 1 項に規定する
タンカー等(次に掲げるもので、その貨 物倉の一部分がばら積みの固体貨物の輸 送のための構造を有するものに限りま す。) 次の区分に応じそれぞれ次の算式 により算定した値
A Dwが 2 万t以上のもの
1,072.72Dw-0.488 B Dwが 4 千t以上 2 万t未満のもの
1,219Dw-0.488(0.98-0.1Dw-4,000 16,000 ) ハ 指標基準省令第 1 条第 2 項に規定する
液化ガスばら積船(次に掲げるものに限 ります。) 次の区分に応じそれぞれ次の 算式により算定した値
A Dwが 1 万t以上のもの
985.6Dw-0.456 B Dwが 2 千t以上 1 万t未満のもの
1,120Dw-0.456(0.98-0.1Dw-2,000 8,000 ) ニ 指標基準省令第 1 条第 4 項に規定する
ばら積貨物船(次に掲げるものに限りま す。) 次の区分に応じそれぞれ次の算式 により算定した値
A Dwが 2 万t以上のもの
846.3752Dw-0.477 B Dwが 1 万t以上 2 万t未満のもの
961.79Dw-0.477(0.98-0.1Dw-10,000 10,000 ) ホ 指標基準省令第 1 条第 5 項に規定する
コンテナ船(次に掲げるものに限りま す。) 次の区分に応じそれぞれ次の算式 により算定した値
A Dwが 1 万 5 千t以上のもの 153.3136Dw-0.201
B Dwが 1 万t以上 1 万 5 千t未満の もの
174.22Dw-0.201(0.98-0.1Dw-10,000 5,000 ) ヘ 指標基準省令第 1 条第 6 項に規定する
冷凍運搬船(次に掲げるものに限りま す。) 次の区分に応じそれぞれ次の算式 により算定した値
A Dwが 5 千t以上のもの
199.7688Dw-0.244 B Dwが 3 千t以上 5 千t未満のもの
227.01Dw-0.244(0.98-0.1 Dw-3,000 2,000 ) ト 指標基準省令第 1 条第 7 項に規定する
一般貨物船(次に掲げるものに限りま す。) 次の区分に応じそれぞれ次の算式 により算定した値
A Dwが 1 万 5 千t以上のもの 94.5824Dw-0.216 B Dwが 3 千t以上 1 万 5 千t未満の
もの
107.48Dw-0.216(0.98-0.1Dw-3,000 12,000 ) なお、上記イからトまでの船舶のうち平 成27年 1 月 1 日前に建造契約が結ばれた船 舶(建造契約がない船舶にあっては、平成 27年 6 月30日以前に建造に着手されたもの。
以下「旧基準対象船舶」といいます。)に ついては、それぞれ上記イA、ロA、ハA、
ニA、ホA、ヘA又はトAの船舶について のみEEDI要件が適用され、その二酸化炭 素放出抑制指標の値はその値に88分の93を 乗じて算出された値以下の値であることと されています。
すなわち、旧基準対象船舶に係るEEDI 要件は、改正前と同様とされています。
(注 1 ) 二酸化炭素放出抑制対象船舶とは、
日本国領海等のみを航行する船舶以外 の船舶であって、総トン数が400トン以 上のものをいいます(海防法19の25①、
海洋汚染等及び海上災害の防止に関す る法律の規定に基づく船舶の設備等の 検査等に関する規則 1 の20)。
この二酸化炭素放出抑制対象船舶は、
次のイからハまでに掲げる船舶を除き、
二酸化炭素放出抑制指標の値が国土交 通大臣の定める基準に適合しているこ と等について国土交通大臣の確認を受 けなければならないものとされていま す(海防法19の26、海洋汚染等及び海 上災害の防止に関する法律等の一部を 改正する法律(平成24年法律第89号)
附則 2 ・ 3 、海洋汚染等及び海上災害 の防止に関する法律の規定に基づく船 舶の設備等の検査等に関する規則 1 の 23)。
イ 漁船等の航海の態様が特殊な船舶 及び電気推進機関等の構造が特殊な 推進機関を備える船舶
ロ 平成25年 1 月 1 日前に建造契約が 結ばれた船舶であって、平成27年 6 月30日以前に船舶所有者に対し引き 渡されるもの
ハ 建造契約がない船舶のうち平成25 年 6 月30日以前に建造に着手された ものであって、平成27年 6 月30日以 前に船舶所有者に対し引き渡される もの
(注 2 ) 二酸化炭素放出抑制指標(EEDI)と は、二酸化炭素放出抑制対象船舶を航 行させる場合におけるその二酸化炭素 放出抑制対象船舶からの二酸化炭素の 放出量であって、その二酸化炭素放出 抑制対象船舶についてその航行に係る 二酸化炭素の放出を抑制するための措 置を講ずるに当たっての指標となるも のをいい(海防法19の26①)、具体的に は、1 tの貨物を 1 マイル輸送する際の、
船舶からの二酸化炭素の放出量を示す 指標とされています。